愛猫の口の中は問題ないですか?
口臭やよだれが多くなったり、血が混じったりしてませんか。
猫の口内炎は、ウイルスや歯垢中の細菌、
体質などが関与しているとされる病気です。
発症年齢は6か月齢など若齢期からみられることもあります。
口の奥の方(扁桃部)や舌の周囲、歯肉が赤くただれたりします。
しかし、痛みがある場合はなかなか口の中をみさせてくれません。
治療は内科療法から開始しますが、
現在最も治癒効果の得られる方法は、全ての臼歯を抜歯(全臼歯抜歯)すること、
あるいは全ての歯を抜歯(全顎抜歯)することとされます。
今回は、重度の口内炎に対して、
全顎抜歯が功を奏した猫ちゃんについてを報告します。
日本猫、10歳齢の雄です。
上顎の歯の周囲が赤くただれています。
下顎犬歯周囲がただれており、
扁桃や舌にも重度炎症がありました。
上顎、抜歯手術後所見です。
犬歯と臼歯の粘膜は吸収糸で縫いますが、
抜糸は必要ありません。
術後翌日より採食可能であり、退院しました。
その後は、1週間毎の通院と抗生剤、
サプリメントの内服を行いました。
しかし舌表面と歯肉の炎症は続きました。
術後7カ月経過時の写真です。
舌表面と口峡粘膜に赤みがみられますが、
よだれと疼痛は見られなくなり、
口の周りがきれいなのが分かります。
現在は、口内炎に対する内科療法は行っていません。
全部の歯を抜く全顎抜歯は、
飼い主様と猫ちゃんにおいて負担となる方法と思われますが、
最大に痛みを軽減できる治療法と考えています。