歯の病気と症状(いぬ)Dental illness and symptoms (dogs)
歯周病
主な症状:口が臭う、歯肉が赤い、歯石が付いている
歯周病は、歯垢中の細菌が引き起こす疾患で、歯肉炎(歯肉に限られた炎症)にはじまり、
進行すると歯周炎(歯を支持する組織にまで及ぶ炎症)となります。
重度歯周病では、くしゃみや鼻汁が出る(口鼻瘻管)、目の下が腫れる(根尖周囲膿瘍)、下あごが折れる(歯周病性下顎骨骨折)などの症状がみられることがあります。
歯と歯肉の間が赤く、歯肉炎が見られます
上顎の第4前臼歯は、歯石が付着し、歯肉の退縮も見られ、歯周炎が疑われます
口鼻瘻管(眼窩下膿瘍)
主な症状:くしゃみや鼻水が出る
重度歯周病が疑われます。
上顎犬歯の歯根の炎症から、慢性鼻炎が生じている可能性があります。
歯周病の検査と抜歯を検討する必要があります。
根尖周囲膿瘍(眼窩下膿瘍)
主な症状:眼の下辺りが腫れた
重度歯周病や歯の破折(歯が折れる)から根尖周囲膿瘍が生じ眼の下辺りが腫れることがあります。
レントゲン検査で診断を行い、原因となっている歯を抜歯する必要があります。
上顎の第4前臼歯や第1後臼歯が原因である場合が多いです。
目の下辺りが腫れ、歯周病が疑われます
歯冠破折(眼窩下膿瘍)
主な症状:歯が折れた
犬では、硬いもの(ひづめ、骨、ガム、おもちゃ)を噛むことにより歯が折れることがあります。
そのままにしておくと、折れた部分から細菌が侵入し、歯の根元に感染が広がっていきます。破折の程度と年齢を考慮し、歯を残す治療(覆罩法や根管治療)か抜歯を行います。
上顎の第4前臼歯に破折がみられます
乳歯遺残
主な症状:乳歯が残っている
犬の乳歯は4〜7か月齢の時期に永久歯へと生え替わります。
そのため7ヶ月齢を過ぎても乳歯が残っている場合、乳歯の脱落が遅れていると考えられます。特に乳犬歯の脱落が起こらず、同じ場所に乳歯と永久歯が生えていることがよく見られます。乳歯が残ったまま永久歯が生えてくると、永久歯の生える方向が変わってしまい、歯周病の悪化する原因にもなります。残存した乳歯は抜歯する必要があります。
上顎と下顎の犬歯ともに、乳歯と永久歯が並んで見られます